Claude DesktopにWordPress MCPを繋いで、ブログ更新作業を丸投げしてみた

1. 背景と課題 ── なぜWordPress MCPを使うのか

以前の記事で、社内プロキシ環境にClaude Codeを導入するところまでをまとめた。開発ワークフローにAIを組み込む準備が整ったところで次に目をつけたのが、WordPress MCP だ。開発以外の日常業務——たとえばブログ更新——にもAIエージェントを活用できないかと考えたのがきっかけだった。

地味に手がかかるのが、自社ブログの更新作業だ。下書きの作成、カテゴリやタグの整理、メディアのalt設定、公開前のチェック……。どれも単純作業なのに、管理画面でポチポチやると地味に時間を取られる。

WordPress MCP はMCP (Model Context Protocol) を介してClaude Desktopなどのチャット型AIから自然言語でWordPressを直接操作できる仕組みだ。Automattic社(WordPress.comの運営元)が公開している Automattic/wordpress-mcp プラグインがその実装である。今回はこれをClaude Desktopに繋いで、ブログ更新作業をどこまでAIエージェントに任せられるか試してみた記録をまとめる。

2. 前提環境

項目内容
WordPress自社運用サイト(最新版)
導入プラグインWordPress MCP(Automattic製、2025年6月時点ではベータ版)
MCPクライアントClaude Desktop
連携方式アプリケーションパスワード認証 + npx経由のリモートMCPサーバー
通信プロトコルJSON-RPC 2.0(WordPress REST APIをラップ)

📌 2025年6月時点ではまだ開発初期のプラグインなので、今後の更新で仕様が変わる可能性がある。導入する場合は最新のリリースノートを要確認!

3. WordPress MCPとは ── 選定理由

WordPress MCPは、WordPressをJSON-RPC 2.0のAPI経由で操作できるようにするプラグイン。投稿・固定ページ・メディア・ユーザー・プラグイン/テーマ・ナビゲーションメニュー・サイト情報、さらにWooCommerceの商品や注文まで、ひと通りの管理操作をAIチャットからカバーできる。

3-1. WordPress MCPのアーキテクチャ

構成はシンプルで、Claude Desktop(MCPクライアント)が、npxで起動するリモートMCPサーバー(@automattic/mcp-wordpress-remote)を介して、WordPress側のREST APIエンドポイントを叩く形になる。

Claude Desktop
│ (MCPプロトコル)
▼
mcp-wordpress-remote (npx)
│ (JSON-RPC 2.0 / アプリケーションパスワード認証)
▼
WordPress REST API ── WordPress MCPプラグイン

3-2. 他の選択肢ではなく WordPress MCP を選んだ理由

WordPressをAIから操作するだけなら、REST APIを直接叩くスクリプトを自作する方法もある。WordPress MCPを選んだ決め手は次の3点。

  • 開発元がAutomattic(WordPress.com運営元)で、今後の継続的なメンテナンスが期待できる
  • 認証の仕組みが最初から組み込まれている
  • 投稿・メディア・ユーザー・プラグイン管理など、必要な操作が一通り揃っている

4. WordPress MCPの導入手順(4ステップ)

Step 1 ── プラグインのインストール

GitHubの Automattic/wordpress-mcp のReleasesから最新の wordpress-mcp.zip をダウンロードし、WordPressのプラグインディレクトリにアップロード。ダッシュボードから有効化し、「設定 > MCP」で以下をオンにする。

  • Enable MCP functionality
  • Enable xxx Tools(投稿・固定ページ・メディアなど、使いたいツール群を全て有効化)

Step 2 ── アプリケーションパスワードの発行

WordPress管理画面の「ユーザー > プロフィール」下部にある「アプリケーションパスワード」セクションから、WordPress MCP接続専用のパスワードを発行する。

  1. アプリケーション名を入力(例:Claude MCP
  2. 「新しいアプリケーションパスワードを追加」をクリック
  3. 表示された24桁のパスワードをコピーして安全な場所に保管(一度しか表示されない)

📌 アプリケーションパスワードはJWTと違い有効期限がなく、手動で失効させない限り継続利用できる。Claude Desktopを再起動しても再発行の必要がないため、WordPress MCPの日常運用に向いている。

Step 3 ── Claude Desktopの設定

claude_desktop_config.json に、WordPress MCPサーバーの設定を追記する。

{
  "mcpServers": {
    "wordpress-mcp": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@automattic/mcp-wordpress-remote@latest"],
      "env": {
        "WP_API_URL": "https://your-site.com/",
        "WP_API_USERNAME": "your-username",
        "WP_API_PASSWORD": "発行したアプリケーションパスワード",
        "OAUTH_ENABLED": "false"
      }
    }
  }
}

設定後はClaude Desktopを再起動して反映させる。「設定 > Developer」タブで wordpress-mcp のステータスが「running」になっていればOK。

Step 4 ── カスタム指示で運用ルールを覚えさせる

AIに自由に操作させすぎると事故のもとになる。Claude Desktopのプロジェクト機能でカスタム指示を設定し、WordPress MCPの運用ルールを覚えさせておいた。

- スラッグ名は英語で付ける
- 投稿でクラシックブロックの使用は禁止
- ユーザーから依頼された操作以外は、承認なしで実行しない
- 公開(publish)状態への変更は、必ず内容を確認してから行う

5. 早速使ってみる

WordPress MCPのセットアップが終わったら、チャットの冒頭で「WordPress MCPを使って、WordPressを操作します」と一言伝えてからスタートするとスムーズ。あとは自然言語で指示するだけで、WordPress MCPが自動的にJSON-RPC形式に変換して反映してくれる。

5-1. 投稿関連

  • 「今週のニュースまとめ」というタイトルで新しい投稿を作成して。カテゴリーは「ニュース」、タグは「週間まとめ」で下書き保存して
  • 最新の公開投稿5件を表示して
  • 投稿ID42を公開済みに更新して

5-2. 分析・レポート

  • 過去3ヶ月で最もコメントが多い記事トップ10を教えて
  • 最新の10記事を取得して、メタディスクリプションが未設定のものをレポートして
  • 先月の新規投稿数・新規ユーザー登録数・最も閲覧された記事トップ5をまとめてレポートして

WordPress MCPの分析系機能は特に便利。普段はダッシュボードを見に行かないと分からない情報を、チャットで聞くだけでまとめてくれる。

5-3. JSON-RPC形式で直接命令する

自然言語だと意図通りに動かない場合や、自動化スクリプトに組み込みたい場合は、JSON-RPC形式で直接メソッドとパラメータを指定することもできる。

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "method": "create_post",
  "params": {
    "title": "AIによる記事サンプル",
    "content": "<p>これは自動生成された記事です。</p>",
    "status": "draft"
  }
}

6. ハマったところ・できなかったこと

ブロックエディタで組んだページの編集は厳しい

ブロックエディタ(Gutenberg)で作ったページをWordPress MCP経由でAIに編集させようとすると、コードの書き換えでブロック構造が壊れることが何度かあった。複雑なレイアウトの編集は、現状まだWordPress MCPには荷が重い。

できなかったこと

  • チャットに添付した画像を直接メディアライブラリにアップロードする
  • ローカルにある画像ファイルを直接指定してアップロードする
  • 外部URLの画像をそのままメディアライブラリに直リンク登録する(アイキャッチには設定できるが、ライブラリへの保存は別途プラグインが必要)

7. まとめと今後の展望

WordPress MCPを使うことで、ブログ更新の定型作業や分析レポートの作成を、自然言語の指示だけでAIエージェントに任せられるようになった。「定型作業はWordPress MCPに、レイアウトや最終チェックは人間が」という役割分担が、今のところ現実的なラインだ。

今回のWordPress MCP連携は、Claude Codeで進めてきたAI駆動開発の延長線上にある取り組み。将来的には、月次レポートの自動作成やカテゴリ整理の提案など、承認ベースのワークフローまで発展させていく予定だ。

参考リンク